核家族化や少子高齢化の影響により、放置されている空き家が全国各地で急増しています。高齢になった所有者が子供世帯と同居、または介護施設に入所したり、所有者が亡くなった後に、相続人が管理を放棄していたりといった理由が考えられます。また、更地にすることで固定資産税が高くなることを理由に、利用の予定がない空き家を放置しているケースもあります。管理状態の悪い空き家では、放火やゴミの不法投棄などのトラブルも発生しやすいため、空き家を放置せず、所有者が適切に管理していくことが重要です。
人が住まなくなってしまった建物は、劣化が急速に進みます。閉め切った建物の内部に湿気がこもることで、木材をはじめとした建築資材の劣化が進行したり、掃除ができていないことによる害虫やカビの発生が主な要因となっています。例えば、将来、空き家を利用したり、他へ貸し出す予定がある場合は、定期的に換気やメンテナンスを行うことで、建物劣化の進行を遅らせることに繋がります。空き家の状態が続いていたとしても、適正な管理を行うことで、不動産の資産価値を維持することができます。
所有している空き家に関して、何らかの苦情があった場合、放置したままにしておくと事故などのトラブルや、訴訟に発展してしまう可能性があります。苦情があった際には、周辺住民と直接やり取りをしなければなりませんし、場合によっては近隣との関係を著しく損なってしまうケースも珍しくありません。日頃から適切な管理を行っていれば、このようなトラブルを事前に回避することができますので、所有する不動産が空き家になった際には、しっかりと管理を行うようにしましょう。自分自身で出来ないことは、専門の業者に相談のうえ対応を行うのが安心です。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律が2015年より施行されました。努力義務ではありますが、空き家の所有者に管理義務を定めています
>空き家の発生を抑制するための特例措置(国土交通省ホームページ)2017年から「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」という制度が適用開始されました。適切な管理をしないまま放置を続けると、自治体より「特定空家」の指定を受けるおそれがあります。特定空家へ指定されても改善されない場合、その自治体の権限で解体撤去(行政代執行)されることにも発展しかねません。また、その解体撤去にかかった費用は、後日、空き家の所有者へ請求されてしまいます。指定後に、特定空家へと改善した場合でも、その空き家の土地の固定資産税の優遇措置が適用除外となり、土地の固定資産税が6倍となってしまうので、そのようなことにならないよう、空き家を管理する場合には注意が必要です。この制度の重要な要件として、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であることや、昭和56年5月31日以前に建築されたことなどが挙げられます。相続財産(実家など)を譲渡した場合に、納めた相続税の一部を取得費(経費)に加算することができる特例もあり、この特例を使用することで譲渡所得に対する税金を軽減することも可能です。※適用期間が決まっているため、相続後長期に渡って相続した空き家等を放置してしまうと、利用することができなくなってしまう恐れがあるのでご注意ください。
建物は人が住まない状態が長く続くと急速に傷み、さらには景観・衛生面の悪化により、ご近所へ迷惑をかけることになり、トラブルに繋がる可能性が非常に高くなります。こうしたトラブルを未然に防ぐために、以下のポイントに注意して適正な管理を行いましょう。
● 建物の老朽化の進行を遅らせる(換気・通気、屋内清掃)
● 雨漏り、外壁の剥がれ、軒裏の破損などの早期発見
● 近隣への挨拶
なんらかの理由で、空き家を自分で管理することが難しい場合、不動産会社や専門の業者に管理を委託するという手段もあります。もちろん当社でも空き家管理のサービスを実施しています。
こういったサービスもあるので、空き家管理でお困りの場合には検討してみてはいかがでしょう
か。
テレビや新聞、雑誌などのマスメディアでも報道されることが増え、空き家問題に対する注目も高まっています。全国の空き家率は増加の一途で、空き家数が820万戸、空き家率が13.5%となっています。(平成25 年統計データ)高齢化社会が進む今、空き家が今後も増え続けることは確実です。
空き家問題は所有者個人だけではなく、地域・自治体レベルでも真剣に考えなくてはならないほど深刻な問題になっています。自治体をはじめ、財団法人、NPO法人、公益法人などの民間団体による空き家対策への取り組みや、空き家バンク(地域の空き家のマッチングサービス)運営の動きも近年活発化しています。空き家率は地方で高くなっていますが、人口が集中する都市圏での空き家率も深刻で、対策が急がれる状況となっています。