駐車場経営は、土地を自動車が効率よく駐車できるように区画割りし、区画毎に利用者へ賃貸する土地活用方法のことをいいます。どのような計画がどのような物件や条件に向いているのか、駐車場経営の資産運用方法についてご紹介します。
土地活用にはアパートやマンションの経営がありますが、それには、建物の建設や入居者管理などの手間がかかります。運営業務は、管理会社に委託することもできますが、アパートやマンションでの入居者間のトラブルなど、オーナーとしての気遣いは必要です。それに比べると、駐車場経営は、利用者同士のトラブルも比較的少なく、賃料回収も明確で、原状回復義務といった手間をなるべくかけずに運営できます
アパートやマンションを経営する場合は、建物を建てなければなりません。例えば、10戸程度のワンルームマンションで数千万円、ファミリー向けマンションだと数億円の費用がかかる場合が少なくありません。自己資金だけでなく、借り入れもする場合、アパートローンは住宅ローンよりも金利が高く、せっかくの収益も利息支払いで相殺されることになりかねません。駐車場経営の場合、月極駐車場の場合は舗装だけ、コインパーキングの場合も、精算機やロック設置だけで済み、少ない初期投資で始められます。
家族の思い出のつまった土地なので、できるだけ残しておきたいけれど、将来、まとまった資金が必要になったときに、すぐに売却できるように流動性をもたせたいと考える方も多数いらっしゃいます。また、お子さまに相続する際も扱いやすいように自由度を持たせておくことで、税金対策や新しい事業への取り組みに利用することもできます。
相続対策など、納税のために将来売却する予定がある土地の場合、建物などはできるだけ建てたくはありません。しかし、更地のまま置いておくと税金もかかるのでもったいない。駐車場経営は、短期間だけ簡易に有効活用したい場合に適しています。
土地が狭くて建物を建築するのは厳しいときや、市街化調整区域内に位置するなど、建物が建てられない土地などは、その場所に駐車場としての需要がある場合は、駐車場経営が成り立ちます。
自宅の庭先に少しだけ空きスペースがある場合や、以前は倉庫として使っていた場所を今は全く利用していない場合などでも、土地が道路に接していて、車が進入しやすい場所であれば、需要次第で駐車場経営が考えられます。
駐車場経営には、月極駐車場とコインパーキングがあります。月極駐車場とコインパーキングの違いは、月単位で賃貸するか、時間単位で賃貸するかですが、それ以外にも、初期投資や安定性、収益性などが関係してきますので、理解しておきましょう。
月極駐車場は、一台ずつ月単位で貸す形式の駐車場です。募集や管理のみを不動産業者に委託する管理委託方式が一般的です。近年では、大手コインパーキング業者等がオーナーに代わり、駐車場の空きリスクを肩代わりする一括借上方式サービスも増えてきました。
月極駐車場にむいている土地とは?
月極駐車場には、住宅街や周りに商業施設のないエリアなど、時間貸し需要の少ないエリアに位置する土地や、土地面積が小さいため、コインパーキングにしてしまうと駐車台数が多く取れない土地、住宅地など周囲の環境などから、頻繁に車が出入りして欲しくない土地が向いています。月極駐車場は、収益性でコインパーキングに劣る場合が多いのですが、様々なエリアに幅広く対応できるため、とりあえず手軽に土地活用したい方にはおすすめの活用方法です。
● 管理委託方式
募集・管理のみを委託する方式管理委託方式は、業者等の提案やアドバイスで、自分で駐車区画割や駐車料金設定等の経営計画を立て、駐車場を整備した上で、その他、利用者の募集や集金、利用者のクレーム対応、場内の清掃などの管理を不動産業者へ委託し、1台あたり定率の管理委託料を支払う方法です。
● 一括借上方式
全てを一括して貸し、業者が一般の利用者へ転貸する方式一括借上方式は、業者がマーケティングを行い、駐車区画割や料金設定といった経営計画を立てます。オーナーは、その計画に沿って駐車場を整備し、業者へ駐車場を一括して貸し、毎月あらかじめ設定した定額の賃料を受取ります。
コインパーキングには、土地賃貸方式と自己経営方式があり、投資額や収入額が大きく変わります。時間貸し需要のあるエリアでは、一般的にコインパーキングの方が月極駐車場よりも多く利益を得ることができるといわれています。
コインパーキングにむいている土地とは?
コインパーキングは、時間貸し需要のあるエリアの土地に向いています。安定した運営を重視したいときは土地賃貸方式を、より収益を求めたいときは自己経営方式を選ばれる方が多くいらっしゃいます。条件を比較しながら、選択しましょう。
● 土地賃貸方式
業者に土地を貸すだけの方式
土地賃貸方式は、オーナーは、単に土地をコインパーキング業者に貸すだけで、駐車設備の設置や集客・管理・運営は全てコインパーキング業者が行います。その上で、土地の賃貸料を毎月一定額ずつコインパーキング業者から得て安定収入を確保できます。
● 自己経営方式
自分で投資して駐車場を整備し、管理・運営は業者に委託する方式自己経営方式は、駐車設備の設置や整備は自分で行い、集客・管理・運営のみコインパーキング業者へ委託します。車止めや料金精算機など初期投資が発生するため、投資額が大きくなりがちですが、コインパーキング業者への委託費以外の駐車場収入は全て自分で得ることができます。
駐車場経営で管理・運営業者を決めることは、業者次第で稼働率に大きな差が生まれる可能性もあるので、しっかりと見極めてパートナーを選ぶ必要があります。
オーナーにも不動産業者にも、駐車台数が増えることは収入の増加に繋がるため望ましいのですが、台数を増やしたせいで駐車区画が小さくなり、大型車から敬遠されたり、駐車しにくかったりして稼働率が落ちては本末転倒です。駐車台数の確保と稼働率を両立した提案をしてくれる業者を選びましょう。
駐車場の管理状態は稼働率へも影響しますし、不法投棄があった際はオーナーが処分費を払うため、無駄な経費が発生しかねません。管理・運営業者を決める際は、事前にその業者が管理している駐車場を確認しましょう。
管理・運営委託費の相場は、エリアにもよりますが、毎月1台あたり1カ月の駐車料金の5%程度がほとんどですが、管理物件数が多く経営状況が良い業者では3%程度で引き受けてもらえる場合もあります。募集広告費名目で別途費用を請求してくる業者もありますが、月極駐車場の利用者は周囲1km圏内程度がほとんどで、特別な広告費の必要性はほぼないといえます。業者を選択する際はその辺りも含めて良く検討しましょう。
※注:仲介手数料は、宅地建物取引業法46条及び国土交通省の報酬に関する告示の中で上限が定
められています。
駐車場経営で失敗すしないために、必ず押さえておきたいポイントを紹介します。
駐車場経営は、手軽に始められて比較的リスクの少ないといわれていますが、やはり、周辺の需要と供給を考えずに取り組むことは止めましょう。運営を始めたものの、借手がつかずに土地活用が機能しないことになりかねません。そのためにも、自分の土地に合った丁寧な経営計画を行いましょう。
例えば、大型車が多いエリアなのに、普通車サイズで区画割してしまうと、稼働率が下がり駐車場経営が上手くいきません。土地周辺には、どんな車の需要が多いのかを見極め、駐車しやすさや、駐車台数を計画しましょう。
駐車場内が汚れていると印象が悪くなり稼働率にも影響します。管理費用の安さだけでなく、管理業者の運営状態を事前にしっかり確認するようにしましょう。
駐車場経営に取り組んだものの、結果的に支出の方が上回ってしまっては元も子もありません。税金のことも考えた経営計画を立てておきましょう。
駐車場経営を始めるためには、下記手順を目安に取り組んでいくとスムーズです。
土地に車が駐車できるのかを確認する必要があります。道路と接しているか、道路との高低差があるか、敷地内で高低差があるかなど、駐車場経営に向かない土地もありますので事前の確認が必要です。また、街路樹やガードレール、道路標識、電柱など移動できるかどうかも含めたチェックをしておきましょう。普通車1台当りの必要駐車区画:(最小)2.5m×5m程度(理想)3m×5.5m程度、駐車場内に整備する車路幅員:(最小)4m以上(理想)5m以上といわれていますので、土地の形状が変形の場合、どれくらいの台数が駐車できるかの予測しておきましょう。
駐車金額や使用状況はもちろん、駐車場が平置きか、立体か、砂利敷きか、アスファルト敷きかといった仕様や、駐車スペースの大きさや数量など、実際に、駐車場経営をする際の近隣の同業者の状況も把握しておきましょう。
自分の土地において、月極駐車場にした場合と、コインパーキングにした場合のメリット・デメリットを把握しておきましょう。
大切な資産の活用を任せる事業パートナー次第では、その後の稼働率に大きな差が生まれるため、しっかりと見極めて信頼できるパートナーを選ぶ必要があります。小さすぎず、かつ無駄のない駐車区画割を提案してくれること、すでに今管理している駐車場がきれいに保たれていること、オーナーからは仲介手数料をとらず、管理・運営委託費が安いことなど、後々の運営について、信頼して任せられる業者を選ぶように気を付けましょう。
駐車場経営について、さまざまなポイントを紹介してきました。お持ちの土地や将来の土地活用についての考え方が駐車場経営に向いているとお考えのオーナー様は、是非この機会にお気軽にお問合せください。