「親の資産なんて大したことないし、相続税なんてかからない」「相続税は大金持ちが考えるべきこと」――。そんなイメージを持っている方は少なくありません。しかし、家族が亡くなってはじめて多額の相続税に直面し、残された家族や親族でもめるといったケースはあとをたちません。生前からきちんと相続税対策を考えておくことはとても大切なのです。
相続税は、一部の資産家に課税されるものではなく、誰もが早めに対処しておくべき問題です。平成27年1月1日に基礎控除額の改正が行われ、改正前よりも4割も基礎控除額※が引き下げられたため、より多くの人が課税対象者になる可能性が高くなりました。「実家は大きな家じゃないし大丈夫」などの思い込みには要注意です。
相続税がこわいのは、相続税が発生した(亡くなった)翌日から「10カ月以内に現金で一括払い」をしなければならないところです。相続財産のなかに、現金(預貯金)があればいいのですが、家や土地しかない場合、現金を用意できずに大変な思いをするケースが多くあります。
家を売る方法はありますが、10カ月以内で売れる保証はなく、時間をかけても売れないために妥協した金額で売却しなければならないこともあるでしょう。相続税が払えないと加算税や延滞税がかかって、さらに金額が膨らんでしまいます。
では、相続税対策として、生きているうちからできることはどのようなものでしょうか。
相続者が相続税を現金で納税できるように用意しておきましょう。財産に現金が占める割合が少ない場合には、相続税の支払いは残された人に重くのしかかります。現金の財産は分配が容易というメリットもあります。財産を一つに集中させないことも大切ですので、土地などの場合は1箇所ではなく、いくつかの土地を用意しておくと、分けやすくなります。
相自分が生きている間に、生前贈与を行うことも一つの相続税対策になります。贈与税の基礎控除は110万円なので、110万円までの贈与には課税されません。また、婚姻期間が20年以上の夫婦間においては、居住用不動産またはそれを取得するための金銭の贈与をした場合、贈与財産の価額から2,000万円の控除を受けることができます。
「相続時精算課税制度」とは、60歳以上の父母や祖父母から20歳以上の子や孫に財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度のこと。相続時精算課税の適用を受けると、2,500万円までの贈与であれば贈与税はかかりません。
現金をたくさん残すと、現金はその全額が相続財産として評価され課税対象とされてしまいます。そこで、現金と比較して一般的に時価評価額が下がる不動産にかえるのも一つの方法です。不動産は現金以上の価値になることがほとんどないので、不動産を購入するだけで相続財産を減らすことができるのです。ただ、不動産には固定資産税がかかる、短期間で換金することが難しいなどのデメリットもありますので注意が必要です。
アパート・マンションなどの賃貸にすることで、借家権という権利を控除することができるため、多くの場合、建物の評価は建築費の半分以下となります。
ただし、相続税対策としての「不動産投資」には注意が必要です。減価償却費などによって発生する経費は大きくなりますが、それを上回る家賃収入がなければ、投資をするメリットがありません。修繕費などを発生させ、初年度以降も節税対策は行えますが、最終的に利益が出れば、その分の税金は国に収めることになってしまいます。相続対策として不動産投資が有益な場合には問題ありませんが、そうではない場合の方が多い可能性が高いため、節税対策として不動産投資を検討する際は、十分に注意をして判断をするようにしましょう。
生命保険金を受け取った場合、「500万円×法定相続人の数」分が非課税になり、現金で支払われます。そのため、相続人の納税資金や、財産分割の際の資金に活用することができます。
生命保険に加入していれば、毎月の支払いによって相続財産が減っていくため、相続税の支払いが減ることも期待できます。
お墓、礼拝物、仏壇などは非課税財産になっているため、生前に墓をたてておくと相続する遺産が減り、相続税も減ります。相続税対策の一つとして一考するのも良いかもしれません。
相続税対策には、個人の状況によってさまざまに異なる対策内容があります。
大成有楽不動産販売でも、節税対策として不動産を活用したいなどのご相談をお受けすることができますので、ぜひお気軽にお問合せください。また、当社ではFP(ファイナンシャルプランナー)との業務提携も行っておりますので、お気軽にご相談ください。