住み替えを考えるきっかけや、実際に新たな住まいに移るタイミングは人それぞれ。シニア世代の住替えでは、身体への不安や年齢を重ねることによって生じる生活の不便さ、長年暮らしてきた住まいの老朽化など「この世代ならではの事情」も大きく影響しています。
今や日本は、世界有数の長寿国です。厚生労働省が行った最新(2016年)の調査では、日本人の平均寿命は女性が87.14歳、男性が80.98歳で、男女ともに過去最高を更新しています。一昔前とは違い高齢期を迎えても若々しく元気に活動するアクティブ・シニアは増えていますが、身体は老化していくので、加齢とともに健康に不安を感じることも多くなります。シニアへの入り口とも言える50代60代は、疲れやすくなったり、無理がきかなくなったり、健康診断で何らかの項目が引っかかったり、「今までとは何か違う」と感じはじめる時期。ずっと元気なままではいられないことに気づき、住まいも含めて老後に向けた対策を立てなければと意識する人は少なくありません。
さらに年齢を重ね、足腰が衰えるなど「加齢変化」をはっきり自覚するようになると、老後の暮らしに対する不安はより現実味を帯びてきます。広い家や階段が多い家は、移動も掃除も大変。また、食品や日用品を買うお店や病院が遠ければ、安心して暮らすことができません。とりわけ電車やバスなどの交通網が整備されていない地域で主な移動手段が車という場合は、「加齢で運転ができなくなったときに住み続けられるのか」を考える必要が出てくるでしょう。
また、自分自身や家族の介護は避けられない問題です。介護が必要になってから慌てて施設を探すことになっても簡単に見つからなかったり、希望する施設に入所できなかったりすることも多いのです。将来の介護に不安を感じたら、どこに住んでどのような介護を受けたいのかを考えてみてください。
マイホームは高い買い物だけに、現役時代は「ここに一生住もう」という覚悟でマイホームの購入に踏み切った人も少なくないでしょう。しかし定年を迎えたり子育てを終え夫婦2人に戻ったりする時期に、住み替えを考える人も多いようです。
矢野経済研究所が2013年に60歳以上の男女823人を対象に行った「シニアの住まいに関するアンケート(インターネット調査)」によると、「住み替えたい」「将来的に住み替えたい」と答えた人は全体の22・7%。「住み替えたいが、住み替えられないと思う」という回答も併せると、45%以上が住み替えに関心を示していることがわかりました。
マイホームを購入したときから住み替えを視野に入れていた人もいる一方で、若い頃とは事情が変わった、あるいは優先すべき条件が変わったという人も多いのではないでしょうか
出典データ:矢野経済研究所「シニアの住まいに関するアンケート調査結果 2013」
50代以降は、子育てが終わり、これまで一緒に暮らしていた子どもが独立するなど、家族構成が変化していく時期でもあります。子育てに適した広い間取りや庭などが、夫婦ふたり暮らしというライフスタイルに変わると負担に感じられ、暮らしにくくなることも少なくありません。学校や公園のそばといった住環境も必要なくなります。
逆に老後を見据え、これまで離れて暮らしていた子どもと二世帯住宅を建てるというケースも。あるいは在職中は通勤に便利な場所に住んでいたけれど、定年以降は緑豊かな郊外に引っ越したい、故郷に戻って暮らしたいなどという方もいらっしゃいます。
国土交通省住宅局「平成25年 住生活総合調査(速報集計)結果」図52 を加工して作成
また子育てのために若くして購入したマイホームは、時を重ねるごとに汚れが目立つようになるだけでなく、歪んで建てつけが悪くなったり、塗装がはがれたり、錆びや亀裂、雨漏りなどあちこち傷みが生じます。キッチンや給湯など設備も老朽化して、使いづらいもの。加齢で身体が衰えてくるからこそ、安全に心地よく暮らすために最新の便利な設備が助けになりますし、バリアフリー対応も必要でしょう。
これまでは日曜大工や簡易な補修・交換でなんとか持たせてきた家も、ある程度年月が経てば大掛かりなリフォームは不可欠で、そのぶん費用も高額になりがち。大金を使ってリフォームをしても、ずっと住み続けることができるのか、あるいは早い段階で住み替えたほうがいいのか、難しい判断を迫られることもあります。
シニア世代に向けた住まい選びは、これからの人生を心地良く過ごすことにつながります。しっかり情報を集め、より良い暮らし方を考えていきましょう。
シニア世帯の住み替えの課題(国土交通省調査)を見ると、持家への住み替え意向を持つ家計主が65~74歳の世帯において、「預貯金・返済能力不足(その可能性がある)」が19.5%、次いで「予算範囲内で気に入る物件がない」17.5%。「現住宅・宅地の売却がうまくいかない」が15.4%となっています。
[持家への住み替え意向のある世帯]
国土交通省住宅局「平成25年 住生活総合調査(速報集計)結果」図57 参照
また、借家への住み替え意向を持つ75歳以上の世帯において、「気軽に相談できる専門家の情報が得にくい」が12.8%となっていることがわかります。
[借家などへの住み替え意向のある世帯]
国土交通省住宅局「平成25年 住生活総合調査(速報集計)結果」図57 参照
どこに相談すれば良いのか、どこから情報を得れば良いのか、数多くある不動産会社からどこが自分たちにとって最適な提案をしてくるかははかり知れません。
ですが、身近にある不動産会社に相談をしてみることで道が開ける可能性は大いにあるのです。
大成有楽不動産販売でも、住み替えやリフォーム、家の売買などのお悩みなどのご相談を受け付けております。ぜひあなたの住まいに関するお悩みをお聞かせください。