2018.04.16
土地の資産活用のひとつに駐車場経営があります。駐車場経営には、土地を新しく購入して駐車場経営をされる方や、今の住まいを売却して引っ越しをして、土地は売らずに駐車場にして経営するなど、さまざまなやり方があります。駐車場を経営するためには、駐車場として利用価値が高いかどうか土地の立地も重要なので、条件面や運営方法を事前に把握しておくことが大切です。多くの事例を参考にしながら、あらかじめシミュレーションをしておきましょう。
今回は、シニアの方が駐車場経営をはじめられたケースをご紹介します。旦那様、奥様ともに70代で、世田谷区三軒茶屋にお住まいです。一戸建てに住んでいる自宅の一部を利用して、駐車場を経営されています。田園都市線「三軒茶屋」駅近くに、代々受け継いだ土地をお持ちで、一戸建てに住んでいらっしゃいましたが、高齢になり、今後の住まい方を考える中で、土地の一部を使った駐車場経営をはじめることになりました。
「駅に近いのですが、決して表通りというわけではありません。少し入った場所にあるので、駅前にある大規模な店とは違い、こだわりの店や雰囲気のいいカフェがあって、人通りはまあまあある方だと思います。ちょっと駐車するのに便利な場所なのか、コンスタントに利用されていますね」
「私たちも高齢になっていくので、これからの暮らし方を考えたからです。高齢になって一軒家を維持していくのは大変なので、売却して便利なマンションへの引っ越しも考えました。でも、代々の土地を手放す気持ちにはまだなれなかったんです。
息子家族は、職場や私立の学校に通いやすい場所で、マンションを購入して住んでいます。この先、二世帯にして住むことや、相続するときの相続税対策として、駐車場だけ売却して資金をつくることができるかもしれないなあなどと、将来を考えながら、土地活用をいろいろと検討しました。その結果、今の場所にもそのまま住み続けられて、資産活用もできる駐車場経営を選びました」
「いろいろな資料を見て、駐車場経営は土地の広さや立地、オーナーの考え方によって、規模もやり方も違うことが分かりました。そこで、私たち夫婦が話し合ったのは、あまりたくさんの利益を望まないことでした。年金にプラスするくらいの気持ちです。でも、何もしないでいるよりも前向きで、月々の利益は欲張らないけれど、いつか更地に戻せる安心感も欲しかったんです。というのも、これから息子家族も子どもたちの年齢によって、暮らし方が変わっていきますし、ご近所の様子も変化していきます。当然、私たちの土地活用方法も変化していくと思っているんです。
例えば、息子や孫、私たち夫婦が別部屋で住める賃貸マンションを建てることも視野にいれられるなあとも考えました。三軒茶屋にはいくつか大学もありますし、将来的にも人気エリアのままだと思うからです。でも、何も知らないでいきなり賃貸マンションを建てて経営するのは勇気がいります。まずは、駐車場経営をはじめて、土地活用を実際に体験してみることで、かかる費用の計算の仕方や毎月の利益の考え方、不動産会社への相談の仕方などがより理解できると思いました。
それに、やっぱり昔からの知り合いも多く、住み慣れた場所なので、暮しやすさも重要でした。高齢になるからこそ、自分たち夫婦にとって一番暮らしやすく、負担の無い暮らし方を選びたかったんです。ご近所に駐車場経営に取り組んだ先輩もいらっしゃるので、どんなやり方をしているのか参考にしたりしました」
「自分たちにとって、はじめての土地活用でしたので、不動産会社の方に基本的なことから相談しました。土地の中に、何台、どんな方向で駐車場をつくるのか、駐車場経営のために取り付ける機械の種類はどれにするのか、駐車できる数量で月々の利益計算が変わりますから、それを把握しながら設置機械のコストを調整する必要があります。駐車場にしたのはいいけれど、機械代が高くて利益がほんのわずかしか残らなかったというのも残念なので。他の駐車場がどんなやり方をしているのか、他の駐車場の事例を参考にしながら、私たちの立地に合うものを選びました。
駐車場にはいろいろな方がくるので、防犯機能などセキュリティも重視しました。駐車場の空いたスペースに花を植えている方もいらっしゃったので、それも参考になりました。車がいろいろ入りますから、ご近所の方への心づかいとして、花壇をつくったり、ゴミや雑草を抜くなど、いつも掃除をしています。季節ごとに咲く花を考えて植えているので、今までよりもきれいになったかもしれません。どんな花を植えるか夫婦で相談するもの楽しみになりました」
家族の住み方が変化することを大切にしながら、資産活用として駐車場経営を選ばれたご夫婦の事例です。季節の花が咲く清掃の行き届いた駐車場は、街の景観にも考慮された結果です。将来は、賃貸マンションや二世帯住宅になっているかもしれませんが、自分たちの今を考え、ふさわしい土地活用するのが大切です。