2019.10.03
家族が年齢を重ねていくと、それぞれの体調も変化していきます。あんなに元気でたくましかった親が、お盆や正月に帰省して久しぶりに会うと、思ったよりも老けていて驚いたという話も少なくありません。
今は元気な高齢者が多くなっていますが、身体が弱ってしまってから対処するのではなく、普段から、家族の将来についてみんなで話し合っておくと安心です。いざというときの心構えができるとともに、親子の間で、どんな風に人生の最後を送りたいかというお互いの共通認識を持つこともできます。
家族ごとに置かれている条件は異なりますので、「うちの家族は、どうしたいのか?何が必要なのか?「介護施設」の選定や資金など、何を準備しておけばいいのか?」という疑問を洗い出し、落ち着いて準備をする時間を持つことがとても大切です。
介護施設や老人ホームには、運営主体、目的や入居条件によりさまざまな種類がありますが、大きく分けると「民間型」と「公共型」の2種類があります。
●民間型の施設
(要介護の状態の方のために)
介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、グループホーム など
(自立状態の方のために)
サービス付き高齢者住宅、健康型有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅、高齢者向け優良賃貸住宅、シニア向け分譲マンション など
●公共型の施設
(要介護の状態の方のために)
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設 など
(自立状態の方のために)
軽費老人ホーム、ケアハウス など
「公共型」の「介護保険施設」は、「介護保険サービス」で利用できる公的な施設のことをいいます。
(1)介護施設としての「特別養護老人ホーム(特養)」(老人福祉法上の呼称です。介護保険上の呼称は「介護老人福祉施設」といいます)
(2)主にリハビリを行う「介護老人保健施設」
(3)長期入院して療養する「介護療養型医療施設」
いずれも、要介護の認定を受けた人が対象になり、入所時費用はなく、介護にかかる費用に居住費や食費を加えます。地域によっても異なりますが、サービス内容によって、すぐに入所できる場合も、待機が必要な場合もあります。
例えば、「公共型」の「特別養護老人ホーム(特養)」は、公的な介護保険施設のため、入居基準は要介護度3以上です。食事・入浴・排せつ介助などの身体介護、清掃・洗濯など生活支援、リハビリ、レクリエーションなどの介護サービスに加え、認知症の方の受け入れも行っています。受けるサービスに合わせて月額金額が変わります。入居順は申し込み順ではなく、介護度以外に家族状況なども考慮され、緊急度の高い方が優先されます。
その一方、「民間型」の「介護施設」には、サービス内容に合わせて、さまざまな施設があります。
例えば、要介護の状態の方の「介護付有料老人ホーム」の場合は、要介護1~5の認定を受けた方のみが入居できます。その他にも、要介護の状況に応じて、身の回りのことが自分でもできる「入居時自立」というホームもあります。
食事、清掃・洗濯など生活支援、入浴・排せつ介助などの介護、リハビリ・機能訓練、レクリエーションなど、入居者の状態に合わせてサービスを受けることができます。入居時に支払う入居金と、月額利用料がかかります。
上記のような、「介護付有料老人ホーム」や「特別養護老人ホーム(特養)」以外にも、施設によって、サービス内容や費用、入居のタイミング、込み具合が違いますので、事前に確認が必要です。
「介護施設」を探すにあたり、サービス内容と費用の確認が重要です。どれくらい費用がかかるかを知り、そのための資金作りまで、家族で相談しておくと安心です。要介護前の入居費と月額費用、要介護になったときの入居費と月額費用、入居する前にデイサービスを受ける費用など、かかるであろう費用を一覧にしてみましょう。
それと同時に、そのために使える資金をどれくらい用意できるかも計算してみましょう。預貯金、今後の年金受給額、お住まい戸建てやマンションの資産価値、相続にかかる費用など、ライフプランを考慮したさまざまな確認が必要になります。
また、「介護施設」を選ぶ際は、「入居」でも、「デイサービス」でも、施設からの送り迎えや家族の面会なども考慮すると、できるだけ家族や今の住まいから近いなど、施設との距離や通いやすさなども確認しておくようにしておきましょう。
「介護施設」を利用するための資金の一例
(1)貯金額
(2)年金の支給額(国の年金、個人年金など)
「介護施設」を利用するための費用の一例
(1)施設の入居費用、月額費用、デイサービスの費用
(2)医療費など、施設利用以外でかかる費用
「介護施設」の情報に加えて、土地建物の取引方法などの知識も必要です。「介護施設」を使用するための資金の算出についても、普段から、信頼できる不動産会社に相談するとより明確な数字が導き出されます。自分の家族に最適なかたちを、家族みんなで見つけ出すことで、安心な老後を形作っていきましょう。