相続税と贈与税、双方にどのような違いがあり、相続と贈与どちらの方が受取り手にとって良いのか理解を深めることで、家族・親族へ安心して残すことができます。
どのような違いがあるのか、確かめてみましょう。
相続税と贈与税は、それぞれどういうものなのでしょうか。
被相続人が亡くなり、相続や遺贈が発生した際、引き継ぐ財産に課される税。遺産を相続する人に課されます。
贈与者が生きているうちに、財産を無償で贈った際に受贈者に課される税金のことです。財産の受贈については、双方の了承を取った上で行われます。
相続税と贈与税は、課税金額に違いがあります。
贈与税は、相続税逃れがないように考えられた税法のため、税率が高くなっています。財産の相続を考える際には、よく考え、注意をして準備を行うようにしましょう。
相続税は、遺産の評価額が基礎控除の金額以下であれば課税の対象にはなりません。評価額が基礎控除を超えたとしても、申告をして税務上の特例(配偶者の税額軽減、小規模宅地の評価減など)を適用すれば、相続税の課税対象にならないケースもあります。
相続税というと、「資産家にかかる税金」「うちには大した遺産がないから大丈夫」と思う方が多いですが、平成27年1月1日に基礎控除額の改正が行われ、改正前より4割も基礎控除額が引き下げられたため、より多くの方々が課税対象者になる可能性があります。
基礎控除額は下記の計算式でわかります。
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)= 基礎控除額
課税遺産総額-基礎控除×税率(-控除額)= 相続税額
贈与税は、贈与を受けた人が、その年の1年間(1月1日~12月31日)に贈与された財産すべてに課税されます。贈与した人の人数は関係なく「受けた人が1年間に総額いくら贈与されたか」によって税額は決まります。
贈与税が定められているのは、「相続税の納税を逃れるために、生きているうちに贈与をしておこう」と考える人を増やさないためです。相続税が課されるであろう財産の贈与には贈与税を課し、相続税を補完しているのです。
贈与税に関しては、さまざまなルールがあります。
まず、財産相続の開始前3年以内に贈与をする場合は、相続財産に含めなくてはならないというものです。生前贈与をした3年以内に贈与する側が亡くなってしまったら、その贈与はなかったことになり、財産の総額から相続税を計算することになります。
支払いが終わっている贈与税があれば、相続税から贈与税を差し引いた金額で、追加納税する必要があります。
贈与に関しては、資産の活用を促し、経済循環を良くするための制度、「相続時精算課税制度」があります。
「相続時精算課税制度」とは、60歳以上の父母や祖父母から20歳以上の子や孫に財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度のこと。相続時精算課税の適用を受けると、2,500万円までの贈与であれば贈与税はかかりません。この制度の特徴は、財産を贈与しても贈与の時点では贈与税は課税されず、相続時に他の相続財産とあわせて相続税が課税されるところにあります。
贈与税は、相続税に比べると負担額が大きいため、「納税額を抑えるために、資産は死ぬまで持
っておこう」と考える被相続人が多くいます。しかしそれではせっかくの資産が活用されない
ままです。それを打開しようと設けられたのがこの制度です。
贈与者が亡くなった際は、遺産にその贈与を受けた財産を加えて相続税を計算しなければなりません。相続時精算課税制度で事前に納めた贈与税で相続税がかからない場合には、再度精算され返還されます。なお、相続開始前3年以内に通常贈与をし贈与税を納め、相続税がかからない場合にも、納税した贈与税は還付されないという点も注意が必要です。この制度には、相続税の金額以上の税金を払うことなく贈与が可能になるメリットがあります。相続税の課税価格は贈与時の時価で算入されるため、その財産の価値が贈与時より上がっていれば節税効果も見込めます。制度を利用する場合は、税理士など専門家に相談し、メリット・デメリットを検討してみてはいかがでしょうか。
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参考出典:国税庁 – 国税庁ホームページ「贈与税|No.4103 相続時精算課税の選択」