最近よく耳にする「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」。2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際社会共通の目標ですが、私たちが日常生活の中でできることを、寒さ対策を例に考えてみます。
すべての人により良い世界を目指して
SDGsとは“Sustainable Development Goals”(持続可能な開発目標)の略称で、2015年9月に国連で採択された目標です。17のゴールと169のターゲットで構成され、地球上の誰一人取り残さないことを原則としています。17のゴールは「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「質の高い教育をみんなに」「安全な水とトイレを世界中に」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「気候変動に具体的な対策を」「住み続けられるまちづくりを」ほか様々で、世界が抱える問題を根本的に解決し、すべての人にとってより良い世界をつくるための目標が設定されています。日本でも政府をはじめ数多くの自治体や企業がSDGsの達成に力を注いでおり、SDGsをテーマにしたテレビ番組なども放送されているので、その名称を聞いたことのある方は多いと思います。では、生活者が個人的に取り組むとしたらどんなことができるでしょうか。
日常の省エネもSDGsの達成につながる
より良い世界をつくるための取り組みというと難しく考えてしまいますが、一つの目安になるものが、国連が公開している「持続可能な社会のために ナマケモノにもできるアクション・ガイド」です。その中で、「レベル1:ソファに寝たままできること」として、電気の節約を挙げています。電気機器を使ってない時は完全に電源を切るだけでもSDGsの達成につながるとしているのです。また、「レベル2:家にいてもできること」として、窓やドアの隙間をふさいでエネルギー効率を高める工夫や、エアコンの温度を冬は低め、夏は高めに設定すること、古い電気機器を使っていたら省エネ型の機種や電球に取り替えることなどを説明しています。これらは非常にわかりやすく日常の中で実践しやすいと言えるでしょう。
冬期の地球温暖化対策「ウォームビズ」
窓やドアの隙間をふさいでエネルギー効率を高めることやエアコンの設定温度を意識して調整することは、寒さ対策に関連する取り組みですが、環境省が冬期の地球温暖化対策として提唱している「ウォームビズ(WARMBIZ)」もSDGsの達成につながると思われるのでご紹介します。ウォームビズは、暖房時の室温を20℃(目安)で快適に過ごすライフスタイルを推奨するものです。環境省では、従来のライフスタイルを少し見直すだけで無駄になってしまうエネルギーを節約するウォームビズのポイントを「衣」「食」「住」のアングルから解説しています。「衣」については、マフラーや手袋、レッグウォーマーなどで首・手首・足首の「3つの首」をあたためること、お風呂上がりは1枚多く羽織り、寝る時は首にタオルを巻いて布団の隙間から入ってくる冷気から首もとを守ることなどを推奨。また、より薄く、軽く、あたたかい機能性素材を選ぶことや、ひざ掛けやストールの活用を勧めています。「食」では、鍋を楽しみながら体も室内もあたたかくし、湯気による加湿効果で体感温度も高めることで暖房を抑えても寒さを感じにくくする工夫を紹介。食材は冬が旬の根菜類、特にしょうがなど体を内側からあたためる効用のあるものを挙げています。
あたたかい空気を室内に閉じ込める工夫を
「住」については、温度計や湿度計で室内環境を「見える化」する方法を紹介。同じ部屋に長くいると実際よりも寒く感じたり、あたたかく感じたりしますが、室内環境を「見える化」すれば無駄な暖房使用を控えることができるというアイデアです。また、窓、壁、床、天井(屋根)など家の様々な部分が空気や熱の出入り口になっているという実態をもとに、一度あたためた空気を室内に閉じ込めておくことを訴えています。こちらは前述の「窓やドアの隙間をふさいでエネルギー効率を高める」ことに合致しますが、窓に断熱シートを貼ったり、複層ガラスや二重サッシに取り替えたり、冬用の厚いカーテンを利用したりすることで、室外への熱の流出を抑えることができます。また、浴室ではあたたかい空気が上のほうにたまってしまいます。そこで、短時間だけ扇風機を使って浴室内の空気を循環させることをウォームビズは推奨しています。居室では湯たんぽや毛足の長いスリッパを使用。さらに、毛足の長いクッションは腰まわりからくる冷えの予防に効果的で、寒さをより緩和できると解説しています。もちろんSDGsのゴールはエネルギーに関するものだけではなく、暮らしのいろいろなシーンでできることはたくさんあります。いまSDGsの具体的な方法を紹介している行政や企業などのWEBサイトは数多くあり、SDGs関連の書籍もたくさん出版されています。ぜひ調べてみて、小さなことで良いので始めてみてはいかがでしょう。