自分が応援したい自治体に寄付すると、地域の名産品などの返礼品が受け取れ、さらに税金の還付・控除が受けられる「ふるさと納税」。今回はその特徴について解説します。
好きな地域を選んで寄付する制度
「ふるさと納税」をご存じでしょうか。すでに毎年行っているという方もいるかもしれませんが、寄付を受けた自治体はもちろん、寄付した本人にもメリットのあるうれしい制度です。名称は「納税」となっていますが、実態は「寄付」です。自分のふるさとや、学生時代に住んでいた町、旅行して好きになった観光地、名産品などに魅力を感じる地域など、任意の自治体に対して寄付を行い、その寄付金額をいま住んでいる地域の自治体に申告することで寄付分が税金から控除されます。ある意味、本来納税するべき自治体の代わりに、自分が希望する自治体に納税することになるというわけです。なお、寄付した人がまちづくりや復興支援などの使い道を指定できる自治体もあります。「ふるさと納税」で寄付を行うとその自治体から返礼品を受け取ることができます。しかも、翌年支払うべき税金から還付または控除を受けることで、税金の控除上限額内であれば実質的な自己負担額は2,000円だけ。寄付する金額にもよりますが、2,000円を負担するだけでそれよりも高価な返礼品を手に入れることが可能です。
その地域ならではの返礼品がいっぱい
自慢の名産品がありながら販売ルートが限られていたり、人口が少なく税収が潤沢でない地方自治体も、「ふるさと納税」による寄付金を活用することで住民に対する社会保障を整えることができますし、また返礼品の生産者も事業を維持・拡大することが期待できます。そのため寄付の獲得に力を入れるあまり、当初は高額な返礼品を進呈する自治体もありました。それが問題となり、2019年度以降は総務省により返礼品は「寄付額の30%以下の価格」「地場産品限定」と是正されました。返礼品は、肉、魚介、果物、野菜、乳製品、工芸品など地域の特産品、その地域にある施設の優待券・宿泊券など様々です。バラエティ豊かなラインアップから選べるのも「ふるさと納税」の魅力のひとつで、寄付先を、地域ではなく返礼品で選ぶ人も少なくありません。
税金の控除額には上限があるので注意
先に触れたように、「ふるさと納税」による税金控除には上限額があります。それは一律ではなく、寄付をする人の家族構成、年収、その年に受ける各種控除の金額などによって異なります。無計画に寄付を行ってうっかり控除上限額を超えてしまうと、自己負担額が2,000円ではすまない事態となります。多くの「ふるさと納税」サイトには、自己負担が2,000円となる控除上限額の目安を計算できるシミュレーションが用意されています。任意の「ふるさと納税」サイトにアクセスしてみて、あなたの場合は控除上限額がおおよそどれくらいになるのかを調べてみると良いでしょう。
確定申告が必要な場合と不要の場合あり
「ふるさと納税」の申し込み・支払いが完了すると、自治体から「寄付金受領証明書」と返礼品が届きますが、それで自動的に税金が控除されるわけではありません。税金の控除を受けるには手続きが必要で、下記の2つの方法があります。
■確定申告
1年間(1月~12月)で「ふるさと納税」の寄付先が6自治体以上、もしくは確定申告の必要がある人が対象です。確定申告の期間中、年に1回だけ申告すればOKです。他の控除があればそれと合わせてまとめて申告できます。
■ワンストップ特例制度
1年間(1月~12月)で「ふるさと納税」の寄付先が5自治体以内、もしくは給与所得者(会社員)など確定申告が不要な人が対象です。「寄付金受領証明書」と一緒に寄付先の自治体から送られてくる「ワンストップ特例申請書」に必要事項を記入し、本人確認書類と合わせて自治体に郵送するだけで手続きは完了します。ただし、複数回寄付をした場合は、その都度自治体に書類を郵送する必要があります。
確定申告の場合は所得税と住民税の両方から控除され、「ワンストップ特例制度」を利用した場合は住民税から控除されます。最終的に控除される金額はどちらの方法でも同じです。
もうすぐ年末、ふるさと納税はお早めに
「ふるさと納税」は、1月1日から12月31日の間に寄付すると、翌年の税金から控除される仕組みです。つまり、12月31日がその年の寄付の期限になります。今年も年末が近づいてきましたので、これから「ふるさと納税を!」と思う方は、自分の控除上限額の目安を調べてみて早めに寄付を行うようにしましょう。