夏バテが心配な季節。まだまだ暑い日々が続く中、しっかり栄養を摂って元気を取り戻すために、夏野菜をサラダや料理の食材に加えませんか。今回は様々な夏野菜の栄養や効能について解説します。旬の味覚を楽しみながら、厳しい残暑を乗り切りましょう。
料理に使え、そのまま食べられるのもメリット
「夏野菜」とは、夏に旬を迎える野菜を指し、「夏野菜」というジャンルが特別にあるわけではありません。1980年頃から栽培技術が向上したことなどを背景に、季節を問わず野菜の生産・供給が可能になり、今は一年を通じて様々な野菜が店頭に並んでいます。ただし、夏野菜の大半が中南米、東南アジア、中東など暑い気候の地域が原産地で、暑さに対抗する力を持っており、旬を迎えると栄養価が高まると言われます。ビタミン類やミネラルを豊富に含んでいるものが多いことから夏バテや熱中症から守ってくれるし、アントシアニンやクロロフィルなどのポリフェノール類、あるいはトマトに含まれるリコピンは、日焼けによる皮膚の老化を抑える働きがあるとされます。味覚も良く見た目も鮮やかなので料理に彩りを添える食材として活かせるし、トマトやキュウリのように調理せずそのまま食べることができるのもメリット。手軽に必要な栄養を体に摂り入れることができます。
どれもこれも体にうれしい栄養素の宝庫
夏野菜の多くに含まれている栄養素は、どのような効果があるのでしょうか。まずはビタミン類。ビタミンAはウイルスや細菌の侵入を防ぎ、粘膜の乾燥予防にも一役買います。抗発ガン作用が期待でき、免疫力を高めるβ-カロテンは、体内でこのビタミンAに変換されます。また抗酸化作用や活性酸素を抑える働きがあるビタミンCは、コラーゲンが合成されるときに必要で、美肌づくりに欠かせない栄養素。同じくビタミンEにも抗酸化作用があり、血中コレステロールや脂肪の酸化を抑えて、紫外線から肌を守る作用もありますその他にも、整腸作用がある食物繊維、余分な塩分を排出しむくみ解消につながるカリウムほか、様々な栄養素を体内に摂り入れることができるのです。
知れば知るほど魅力いっぱいの夏野菜
それでは、夏野菜それぞれのエピソードや栄養をご紹介しましょう。
■トマト
南米からコロンブスによってヨーロッパに運ばれたトマト。当初は有毒な植物と思われ、しばらくは観賞用だったそうです。日本でも17世紀半ばに伝来した当時は観賞用として珍重され、食用になったのは明治以降とのこと。リコピンは生活習慣病の予防や美容につながり、旨味成分であるグルタミン酸、アスパラギン酸が豊富なので料理でも重宝します。
■キュウリ
90%以上が水分なので夏場の水分補給に最適ですが、それ以上の力を持っています。ビタミンやミネラルなどを含んでいるうえ、カロリーが低く、炭水化物や脂質、コレステロールが少ないので、生活習慣病の予防やダイエットを意識している人にはオススメです。
■かぼちゃ
16世紀、カンボジアに寄港してから日本に到着したポルトガル船が持ち込んだため、「カンボジア」が語源という説は有名。ただし、当時の品種は現在の「日本かぼちゃ」で、いわゆる「西洋かぼちゃ」は19世紀になってから伝来しました。β-カロテンやビタミンA・C・E、食物繊維、カリウムなどが含まれています。
■ナス
キュウリと同様に成分の90%以上が水分で、食物繊維、カリウムなどのミネラル、ポリフェノールなどを多く含みます。また、体を冷やす作用があり、暑い夏にはうれしい食材です。生食できる水ナスなら、浅漬けはもちろんサラダなどにも使えます。
■ピーマン
全体的にカロリーや糖質が低い夏野菜の中でも、ピーマンは特に低カロリー、低糖質な食材です。安心して食物繊維、カリウムほかの栄養素をたっぷり摂れます。独特の苦味を嫌がる人は多いですが、茹でることで苦味は軽減できます。
■ゴーヤ
沖縄には「医食同源」の考え方があり、ゴーヤも夏バテ予防のためにも食べられてきたと言われています。ビタミンC、カリウムが豊富で、ピーマンと同様に苦味がありますが、水にさらしたり、塩もみしたり、下茹でしたりすれば和らげることができます。
■オクラ
ネバネバした成分であるガラクタンやアラバン、ペクチンなどの食物繊維、β-カロテン、ビタミンC、カルシウム、カリウムなどを含んでいます。ペクチンには整腸作用やコレステロールを排出する作用があり、大腸ガンのリスクを減らす効果があるとされています。
夏野菜に含まれる栄養素のほとんどは加熱しても失われないと言われます。加熱で壊れやすいビタミンCも、例えばカレーやスープなどのメニューならそのまま溶け出すのでしっかり摂れます。トマト、オクラ、ナスなどを使った「夏野菜カレー」なら、目で彩りも楽しめ、味わいも豊かです。ぜひメニューを工夫して旬の野菜に親しんでください。