暑い季節は、飲料の摂取量とともにペットボトルとふれあう機会も増えていくことでしょう。空になったペットボトルは、リサイクルできる大切な資源でもあります。地球環境のことも考えて、正しい付き合い方を実践したいもの。今回はそんなお話です。
ポイ捨てされたペットボトルが海を汚している?
日本では500mlのペットボトルに入った清涼飲料水を国民1人あたり毎日1本飲んでいる計算になるそうです。それだけ私たちの暮らしに身近なペットボトルですが、プラスチック容器による環境問題も起こっています。ポイ捨てなどにより海に流出したプラスチックごみが海を汚染し、生態系にも悪影響を及ぼしているのです。その量は年間800万トンと言われます。シロナガスクジラの最大確認体重が約190トンとのことですから、その4万頭以上にあたるプラスチックごみが海に流出していることになります。国内の海岸にも流れ着くものも少なくありません。排出源は主に海外ですが、日本製のプラスチックごみがたくさんたどり着いている地域もあります。命を生み、育んできた大切な海を守ることは、食をはじめとする健やかな生活を守ることにもつながります。使用済みのペットボトルを正しくごみに出すことは、私たち国民の義務とも言えるでしょう。
正しく回収されれば再び暮らしに役立つものに
環境問題ばかりでなく、資源循環の観点でもペットボトルとの付き合い方は大切です。ペットボトルに使用されている「ポリエチレンテレフタレート」は、元の素材と同等の品質に何度でも戻すことができるのが特徴。ペットもボトルも正しく回収されれば、新たなペットボトルや繊維などに生まれ変わり、再び私たちの暮らしに役立つものになるのです。石油、石炭、天然ガスなど限りある化石資源を地下から新たに掘り起こすことなく、すでに地上にある資源を上手にリサイクルすることは、地球の豊かな未来づくりにも貢献できます。それでは、ペットボトルを「正しく回収」するというのはどういうことなのでしょうか。次にそのことを考えてみたいと思います。
キャップとラベルを外しきれいな状態で出すこと
回収されたペットボトルに異物が混入していると、リサイクルによる再利用品の品質が低下します。飲み残した飲料が入っていたり、外側が汚れたりしていないかを確認し、軽く水で汚れを落としてからごみに出す意識は大切です。また、キャップとラベルはペットボトルと材質が異なるので外し、ペットボトル本体のみを「ペットボトルごみ」として自治体が指定した日・場所に出すか、スーパーなどのペットボトル回収ボックスに入れます。自治体によってラベルは外さなくて良いケースもあるので、 自治体のルールをチェックすると良いでしょう。家庭ごみはきちんと分別されてきれいな状態で回収されることが多いですが、問題は自動販売機の横などに置かれているペットボトルの回収ボックスです。飲み残しだけでなく、ペットボトル以外のごみやたばこの吸い殻などが入れられるケースが多いようです。リサイクルの弊害になるだけでなく、悪臭の発生や虫が集まる原因にもなるので、外出先でもペットボトルの出し方は意識したいものです。なお、油やソースなどもプラスチック容器に入っていることが多いですが、水で汚れが落ちないものはリサイクルの対象外です。それらの容器には「プラ」マークが付いており、ペットボトルとは異なる「プラスチック製容器包装」という区分になるので、ごみに出す時は注意しましょう。
ペットボトルを生活アイテムとして役立てる
リサイクルのことを説明してきましたが、ペットボトルを生活に役立つアイテムとして活用する方法もあります。たとえば、中に水を入れて凍らせたペットボトルを3本程度、扇風機の前に置きます。すると室内に循環する風がより涼しくなり、エアコンの使用を軽減する効果があります。逆にお湯を入れれば湯たんぽになり、冬場も活躍します。また、水で満タンにしたペットボトルを数本、湯船に入れると湯量を減らすことができるので水道代の節約に。お風呂の湯は入れ替えても、ペットボトル内の水は汚れないので何度でも使用できるのもメリットです。
見た目もきれいな食品の保管ケースとして活躍
ペットボトルは食品の保存ケースとしても役立てることができます。湿気を防ぎ、パスタやそうめんなどの乾麺、あるいは米などの保存に適しています。500mlのペットボトルはおおよそ米3合に相当するので、毎回炊く量が一定であれば計量の手間も省けます。高さの同じペットボトルをキッチンの棚に並べると、見た目にもきれいです。そのような使い方であれば汚れることは少なく、古くなったら軽く水洗いしてリサイクルに出すことができます。使用済みペットボトルも単なるごみではなく生活アイテムとして愛着を持てば、処分する時の意識も自然に高まるかもしれませんね。