自然災害の発生時などに食料や生活必需品が手に入りにくくなることを想定し、備蓄をしておくことは大切です。では、何をどのくらい蓄えておけばよいのか、また備蓄したものを無駄にしないためのコツなどについてご紹介したいと思います。
モノが容易に手に入る便利な時代こそ備蓄に意識を
地震や台風、津波、竜巻、火山の噴火など様々な自然災害に見舞われる日本。そのような有事の心配の一つに、物資が入手困難になることがあります。特に、水と食料の不足は命に関わることですから、常に住まいの中に確保しておくのは必須と言えるでしょう。しかし、備蓄の大切さはわかっていても、実践していない家庭は意外と多いかもしれません。というのも、身近にあるスーパーマーケットやコンビニエンスストアへ行けば飲料や食べ物をはじめ日常生活を支える大概のモノが手に入る時代、「備蓄しよう」という意識は薄くなっていることが想像できます。記憶に新しい出来事は、この春、新型コロナウイルスの感染拡大とともにマスクだけでなくトイレットペーパーやティッシュペーパー、レトルト食品、缶詰、カップ麺などが店頭から消えるという事態が起こったこと。その経験を通じて、予期せぬ物資不足が生じた時に自分の家には十分な備えがないという実態を目の当たりにし、備蓄の大切さを改めて思い知った人も少なくなかったのではないでしょうか。
水・食料は最低3日分、できれば1週間分を確保
備蓄をするのは良いとして、何をどのくらい蓄えておくのが適正なのでしょうか。まず水・食料について農林水産省の「緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド」では、最低でも3日分、できれば1週間程度の備蓄が望ましいとしています。飲料水は、1人当たり1日1リットルが目安で、調理などに使用する水も含めると3リットル程度。つまり、3日分なら9リットルということになります。米については、1食あたり0.5合とした場合、2kgの米から約27食分作れるので、1日3食で3人家族の3日分という計算になります。また、レトルトごはんなら家族の人数×3日分の量がわかりやすく調理も簡単なので便利です。電気・ガスが利用できない状況を考えるとパンの缶詰や乾パンなどを用意しておくこともおすすめです。また、炭水化物以外にたんぱく質もしっかり補給するために、缶詰も様々な種類のものを備蓄したいところです。
ローリングストックで無駄のない備蓄を実現
水や食料の備蓄でよくありがちなのは、ふと思い出して賞味期限を確認したらとっくに過ぎており、まるごと買い替えて無駄にしてしまうこと。それを防ぐための「ローリングストック」という方法があります。備蓄する水・食料の量を常に保ちながら、それぞれを賞味期限内に消費して、買い足しを繰り返している方法です。無駄なく備蓄品を消費することができ、常に鮮度を保つことができます。また、備蓄品の賞味期限を常に把握しなければならないため、自ずと備蓄に対する高い意識を維持することにもつながります。ぜひ実践してみてください。
非常用持ち出し袋に入れておきたい必需品
備蓄しておくべきものは、もちろん水や食料だけではありません。生活を継続するために、あるいは安全に避難するために、最低限必要なものを備えておきましょう。一つの袋に入れておけば、緊急の避難時にまとめて持ち出せるので安心です。内閣府が非常持ち出し袋に入れておきたいものとして水や食料以外にリストアップしているのは、□防災用ヘルメット・防災ずきん □衣類・下着 □レインウェア □紐なしのズック靴 □懐中電灯・携帯ラジオ(手動充電式が便利) □予備電池・携帯充電器 □マッチ・ろうそく □救急用品(ばんそうこう、包帯、消毒液、常備薬など) □使い捨てカイロ □ブランケット □軍手 □洗面用具 □歯ブラシ・歯磨き粉 □タオル □ペン・ノート など。さらに、感染症対策として■マスク ■手指消毒用アルコール ■石けん・ハンドソープ ■ウェットティッシュ ■体温計 など。 また、住まいの備蓄品として、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ラップ、ゴミ袋、ポリタンク、携帯用トイレなども挙げています。
ペットが食べ慣れたフードを1週間分多くキープ
犬や猫を飼っているご家庭では、ペットのための備蓄も考えておかなければなりません。慣れないフードやストレスで食餌がとれないことを考慮し、いつものフードを普段から1週間分多く備えておくと良いでしょう。特に、獣医師から指示されている療法食は避難所では入手が困難と考えて備蓄しておきたいもの。また、ペットシーツや猫砂も余分に用意しましょう。なお、スムーズな避難のためにケージやキャリーケースにすぐ入るようしつけることも大切です。有事の際、人もペットも普段通りの日々を再び迎えられるよう備蓄はしっかりと行いたいものです。