多くの方がご存じだと思いますが、冬は空気が乾燥し、さらに暖房器具を使用することなどから1年の中でも火災が発生しやすい季節です。そこで今回は、火災を起こさないための心掛けや住まいの防火対策などについてご紹介したいと思います。
出火原因のトップであるたばこの不始末にご注意
総務省消防庁発表の「平成29年(1月~12月)における火災の状況」によると、全国における同年7月~9月の出火件数は7,870件であったのに対し、1月~3月は11,831件でした。つまり、冬場の火災件数は夏場の約1.5倍だったということです。出火原因は、1位が「たばこ」、2位が「放火」、以下、「こんろ」、「たき火」と続きます。ご家族に喫煙する方がいる場合、たばこの始末を徹底したいものです。よくある不始末は、たばこを吸い終わった後、完全に火が消えていないのにゴミ箱などに捨ててしまうケース。それは屋外でも同様で、吸い終わったたばこを安易に捨てると火が枯れ草などに燃え移ってしまう危険性があります。しっかり火を消す習慣を身につけたいものです。また、灰皿に吸殻をためこまないこと。引火して気づかないうちに大きな火種になり、火災につながってしまうことが考えられます。言うまでもなく、くわえたばこで室内を歩き回ることや寝たばこも厳禁です。たばこの火種が布団やカーペットなどに落ちて、長い間いぶすように燃え続ける「無炎燃焼」という状態はなかなか気づきにくく、有害な一酸化炭素を発生させることもあるのです。喫煙する本人が注意するのはもちろんのこと、ご家族もくわえたばこや寝たばこをする姿を見かけたら声を掛けるようにしましょう。
住まいの周囲に意識を向け放火を未然に防止
火災発生原因の第2位である放火についても十分な警戒が必要です。「まさかうちが放火されるなんて」と他人事のように考える方は少なくないと思いますが、実際に放火されたご家庭も同じだったかもしれません。自分事として必要最小限の対策は行いましょう。まずは家の周りに、可燃ごみや平積みした新聞紙や雑誌、あるいはバイクのカバーなどを放置しないこと。放火の多くは、そうした燃えやすいものに着火されることで発生しています。特に、可燃ごみについては住まいの外に放置せず、きちんとごみ取集日の朝に出すようにしましょう。また、放火されやすい場所としては、人の気配がない暗がりにある物置や駐車場などです。外灯を取り付けて明るくすれば、放火犯も近寄りがたくなります。普段まったく灯りを必要としない場所であれば、人を感知して点灯するセンサー付きのライトを設置してみてはいかがでしょうか。
暮らしの中で火や熱、電気を扱う際の心得
日常生活において、火を使うシーンと言えば最初に思いつくのが調理でしょう。実際に調理をしている間は火に神経が向けられていますが、つい目を離した時が危険です。例えば電話や来客があったら、面倒でもいったん火を消してから応対します。また普段からの心掛けとして、コンロにほこりが付かないようにキッチンはしっかり掃除してほこりのない状態をキープしましょう。また、冬シーズンはパーティーなどでケーキのろうそくに火をつけることがあります。その場合もろうそくに火をつけたまま部屋を無人する状況は避けたいものです。それは仏壇のろうそくに火をつけている時も同様です。コンロやろうそくなどの近くもそうですが、暖房器具の周りにも燃えやすいものを置いてはいけないことは言うまでもありません。冬場に洗濯物を早く乾かそうとしてストーブの上に干すご家庭もあるかもしれませんが、何かの拍子で落下したら火が燃え移る可能性があるのでそれもNGです。さらに、寒いからと言ってストーブをつけたまま、その近くで寝るのもよくありません。寝具に火が燃え移っても就寝中では気づきにくく、大事に至る危険性があります。そして、日常の心得としてよく挙げられながら、ついやってしまうのがコンセントのタコ足配線です。火災につながるリスクが高いので、ぜひ解消しましょう。
住宅にも火災警報器や消火器の設置をお忘れなく
平成16年の消防法改正により、平成18年6月から住宅用火災警報器が新築住宅について義務化され、さらに平成23年6月までに既存の建物も全市町村で設置が義務付けられるようになりました。ホームセンターなどで販売されていますから、取り付けていないご家庭は早急に設置することをおススメします。そして、万一火災が発生した時のために消火器は必ず常備しましょう。設置場所は、湿気の多いキッチンよりも玄関などのほうがベターです。問題は、せっかく用意したのに使い方がわからず、肝心な時に役に立てられないこと。使用方法についてもしっかり知っておきたいところです。その他、防火窓や防火ドア、またカーテンやカーペットも意識して防炎製品を選ぶことが火災防止につながります。大切な住まいとご家族のために、ぜひご検討ください。