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2019年10月のイエタンコラム
住まいの中は危険がいっぱい

階段などでの転倒・転落をはじめ、住まいの中での事故は少なくありません。冬になると、暖房器具によるやけどや一酸化中毒、暖かい部屋から寒い場所に移動した際の温度差が身体に悪影響を与える「ヒートショック」なども……。そんな事故のリスクと予防策について考えてみます。

屋内外での転倒・転落は手すりなどの設置で防ぐ

屋内外での転倒・転落は手すりなどの設置で防ぐ

「事故」と聞くと、何となく屋外のイメージが強いという方は少なくないと思います。交通事故や遭難事故のニュースがよくメディアで報道されるため、そうした印象を受けるのも無理はありません。ところが、内閣府の「平成30年版高齢社会白書」によると、事故の発生場所は「一般道路」が20歳以上65歳未満で9.0%、65歳以上で6.9%なのに対し、「住宅」はそれぞれ71.4%、77.1%と、住まいにおける事故は交通事故の約8~11倍も発生しているのです。その中でも多いのは「転倒」「転落」。2階建て以上の住宅であれば必ず階段があるし、マンションも含めエントランスが一段高い建物では屋外にも階段が設置されています。階段のみならず、ちょっとした段差につまずいたり、高さのある浴槽をまたぐ際に転倒したりするケースも考えられます。もちろんホームエレベーターやスロープの設置、浴槽の交換など大掛かりなリフォームをすれば解決はできるかもしれません。ただし、相当な費用と時間を要します。すぐできる対策としては手すりを取り付けること。屋内の階段であればすべり止めのマットなどを設置するのも有効でしょう。

毎日開閉するドアでの手指はさみ事故にも注意

毎日開閉するドアでの手指はさみ事故にも注意

幼児や高齢者を中心に、ドアで手指をはさむことによるケガも多いです。ドアの種類で言えば、引き戸のほうが開き戸より強くはさまれるリスクは小さいと思われます。ただし、やはりドアの交換も簡単ではないので、すぐできることから着手することをおススメします。一つは、開き戸の内側の上方に「ドアクローザー」という装置を付けること。ドアを閉めるスピードを抑制するので、手指はさみ事故の危険性を軽減することが期待できます。様々なタイプがありますが数千円で市販されているものが多く、設置も比較的容易です。また、蝶つがい側の隙間に手をはさまないように取り付けるスクリーンや、ドアの先端に取り付けて完全に閉まらないようにするドアストッパーなどもあります。ホームセンターや通販サイトなどで一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

湯船で溺れるなど浴室での事故も頻発

湯船で溺れるなど浴室での事故も頻発

住まいの中の危険は、上記以外にも幅広くあります。窒息や溺水で亡くなる方も毎年たくさんいます。窒息は食べ物や嘔吐物をのどに詰まらせることなどが主な原因。やがてお正月を迎え、餅を食べる時などは要注意です。そして溺水。これは大半が浴室での事故です。深いプールではなく、浅いお風呂でも油断は禁物。たとえば湯船に浸かったまま居眠りしてしまい、そのまま溺れてしまうケースも考えられます。浴室からなかなか出て来ない、しばらく音が聞こえないといった状況では、ご家族が脱衣所から声を掛けるように心掛けたいものです。また、幼児だけで入浴させたり、一緒にお風呂に入る時も子どもから目を離したりしないよう注意したいものです。そして、これからの寒い季節に注意したいのはヒートショックです。たとえば暖かい居室から寒いトイレや浴室・脱衣所に移動すると急激な温度差により血圧が大きく変動し、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす恐れがあります。また、失神やめまいで転倒し、ケガをしたり湯船で溺れてしまったりすることも考えられます。対策としては、寒い場所の温度を電気ストーブなどで少しでも高く保つようにすること。トイレは暖房付きの便座を取り付けるのも一つの方法です。入浴前にお風呂のふたをも開けておいて浴室内の温度を高めておけば、それもヒートショック対策になります。また、冬場に住まいの中を移動する際は、上着などを羽織り、靴下やスリッパも必ず履くようにしましょう。

地震による家具の転倒など予期せぬ事態にも対応

地震による家具の転倒など予期せぬ事態にも対応

事故が起こるのは人が活動している時だけではありません。地震によって家具が倒れたり、棚に置いてあるものが落下したりすれば、じっとしていてもケガをしてしまう可能性があります。地震対策として家具の転倒防止用の器具を設置している家庭は多いと思いますが、戸棚や食器棚にも飛び出し防止の器具を取り付けておきたいもの。もちろん棚には重いものを載せないようにすることも大切です。災害時だけでなく、うっかりが原因で事故に遭うことも防ぎたいもの。よくありがちなのは、濡れた手でコンセントにさわって感電したり、鍋料理の際にコンロでやけどをしたりすることなど。特に乳児や幼児はそうした危険性がわからないので、周りの大人が注意してあげましょう。住まいは家族が幸せに暮らすための場所。事故のリスクをできるだけ抑え、いつも笑顔が似合うわが家であってほしいものです。

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