蚊に刺されて嫌な想いをしたり、ハエやゴキブリなど衛生上うれしくない虫たちが活発に動いたりするこの季節。今回は、住まいに被害をもたらすシロアリも含め、快適・安心に暮らすための害虫対策について考えたいと思います。
いろいろな病原菌を持ち私たちの健康を脅かす害虫
一口に「害虫」と言ってもタイプは様々。ハエやゴキブリは病原菌を運び、蚊や蜂、ダニなどは直接肌を刺して毒をもたらし、私たちの健康を脅かします。侮れないのは、ハエはO157(腸管出血性大腸菌)など、ゴキブリはサルモネラ菌など、蚊は日本脳炎、黄熱、マラリアなどを発症させる病原菌を保有している可能性も。また、ダニに刺されるとアレルギー症状を引き起こす恐れがあります。害虫は「見た目が気持ち悪い」「飛ぶ音がうるさい」「刺されるとかゆい」といった理由で嫌われがちですが、健康生活に悪影響を及ぼすかもしれないためきちんとした対策をとりたいものです。
害虫の侵入経路をチェックし「入れない」ことを徹底
害虫はどこから住まいの中に侵入するのでしょうか。ハエや蚊などが開けた戸や窓から入って来るだけではありません。たとえば換気扇を設置した通気口にネットを張らずオープンな状態にしていると虫たちは簡単に侵入して来ます。網戸を設置している窓やサッシも、隙間があったり網戸に穴が開いていたりしては意味がありません。補修やネットの交換が必要です。帰宅時に玄関の戸を開けたり、ベランダから洗濯物を取り込んだりするタイミングで、虫たちはヒトに付き添うように家の中に入ってきます。それだけにドアやサッシの開閉はできるだけ短時間で済ませるように心掛けたいものです。さらに、洗濯物に虫が付着している場合もあるので、軽く叩いてから取り込む習慣をつけると良いかもしれません。エアコン周りも意外と虫の侵入口になります。水を放出するドレンホースをつたってゴキブリなどが侵入して来ることも。そこで、ホースの口にネットを装着することをオススメします。あらかじめ網戸に殺虫剤をスプレーしておくのも、虫よけ効果を高める一つの方法です。その場合、窓や扉を閉めた状態で屋外から網戸にスプレーすれば効果がより高まります。
蚊やコバエの発生源を見つけ撤去・清掃することが大切
蚊は水がたまる場所で発生します。庭やベランダに水がたまったバケツや植木の受け皿などは放置していないでしょうか。また側溝に腐敗物などがたまっていると、蚊だけでなくコバエも発生します。屋外にそのようなものがないかこまめに点検し、撤去や清掃するようにしましょう。また、生ゴミのある場所はコバエの発生率が高いです。夏場はにおいもきついので、早めに捨てるようにします。ゴミの日がまだ先の場合、においを抑えるために生ゴミを新聞紙にくるんでからゴミ箱へ。肉や魚などが盛られていた食器トレーも、ゴミ箱に入れる前に軽く水洗いしましょう。キッチンの排水溝も、食べかすなどがこびりついていると幼虫が大量に発生しかねないのでしっかり掃除します。なおシンク側だけでなく、排水管も汚れている可能性が高いです。定番の掃除法としては、重曹を振りかけた後に酢をまき、ぬるま湯を流し込んで1時間ほど放置し、再度お湯で洗い流します。これによりヌメリやにおいも解消できるので一石二鳥と言えます。
蚊や蜂に刺されたら速やかに適切な対応を
注意していても蚊に刺されてしまうことはあるでしょう。気をつけたいのは刺された箇所を掻いて傷つけてしまうこと。傷口に細菌が入りひどい状態になってしまうことがあります。刺された直後に保冷剤で冷やしたり市販薬を塗ってかゆみを抑えたりする方法が一般的ですが、引っ掻かないように絆創膏を貼っておくのもオススメです。より適切な対応が必須なのが、蜂に刺された時です。蜂の種類にもよりますが、刺された箇所を水でよく洗い流し、蜂の針が残っている場合は速やかに抜いて水か氷で冷やします。めまいやじんましん、唇や舌の腫れ、呼吸困難などの症状が出たら、迷わず救急診療を受けてください。
見つけにくいシロアリから大切な住まいを守る
今まで取り上げて来た虫たちとはタイプが違いますが、住まいの天敵であるシロアリも立派な害虫です。木部を食い荒らされると、住まいの耐久性が著しく低下してしまいます。家の基礎に蟻道(ぎどう)と呼ばれる土の道を見つけたら、シロアリの通り道になっている可能性があります。自分で対処できるシロアリ駆除剤は市販されています。ただし、床下に潜って基礎の状態をチェックしたり、シロアリの生息を確認したりするのは素人ではなかなか難しいし、発見や対処が遅れると被害が大きくなることもあります。気になる場合は一度専門家に相談してみると良いでしょう。健やかで快適な日々を楽しむために、人も住まいも害虫からしっかりと守りたいものですね。