もうすぐお中元シーズン。デパートで品物を選んで配達も任せれば間違いはないということで、近年は贈る時期やマナーへの意識が薄くなっているかもしれません。お中元やお歳暮に限らず、意外と知られていない贈答のマナー。その主なところをご紹介しましょう。
お中元は7月15日まで、お歳暮は12月20日頃までに
日本のお中元は、中国の道教で天神を祭った「上元」(1月15日)、「中元」(7月15日)、「下元」(10月15日)の三元における「中元」に由来します。それが先祖の霊にお供えする盂蘭盆会(うらぼんえ)と結び付き、長い歳月を経て、先祖に対するお供え物からお世話になった方への贈り物に変化していったという説があります。贈る時期は地域によって差があり、関東では6月下旬から7月15日まで、関西では7月半ばから8月15日までとされていましたが、近年は全国的に7月上旬から7月15日に贈るのが一般的のようです。7月16日を過ぎた場合、立秋(8月6日頃)までは「暑中御見舞」、それ以降は「残暑御見舞」とします。一方、お歳暮は年越しに催される「御霊祭」がルーツで、やはり先祖の霊に対するお供物が贈り物に変化したと言われます。こちらの時期は12月初めから年内いっぱいまで。できれば25日くらいまでに贈るようにしましょう。お中元もお歳暮も、本来は品物を持参して直接手渡すのが礼儀というもの。とはいえ、時間と手間を費やして訪問するのはなかなか大変なので、デパートなどに配達を委ねてしまいがちです。その場合は感謝の気持ちを伝える送り状を品物より先に郵送するようにします。なお、お中元やお歳暮は、お祝いではなく相手への感謝の気持ちを伝えるものなので、喪中でも問題はありません。ただし、四十九日を過ぎていない場合は避けるようにし、また紅白の水引ではなく白無地の奉書紙を使用するなどの配慮も必要です。
結婚祝いは挙式の前に贈り「切る」ものは避ける
次に、お祝い事での贈答マナーについて。まずは結婚祝いです。披露宴に招待されている場合はのし袋に現金を入れて渡しますが、そうでない場合は挙式の1週間くらい前までに贈るようにします。包丁やはさみのような「切る」ものは縁起が良くないので避けましょう。出産祝いは、命名日からお宮参りまでの間、生後7日~1ヶ月を目途に贈ります。身内の場合はベビーベッドや寝具などを贈るケースが多いですが、他の方と重複しないように事前に確認したほうが良いでしょう。友人・知人でしたら、ベビー服やベビー靴など複数あっても困らないものが理想的。現金や商品券ならより無難です。
入学祝い・卒業祝いも他の人とかぶらないように
入学祝いについては、新生活に必要となるものを贈ると喜ばれることでしょう。ランドセルや学習机は他の人と重複しないようにしなければならないし、カラーやデザイン、機能に対しては本人の希望もあるでしょうから、身内でも事前に確認するべきと言えます。もちろん現金や図書カード、文具券なども嬉しいものです。贈るタイミングは入学の2~3週間前にします。卒業祝いは、卒業式の前後1ヶ月に贈るのが目安ですが、進学ではなく就職するのであれば就職祝いのほうがベターでしょう。社会に出てから役立ち、複数あっても困らないネクタイやアクセサリーなどが無難ですが、何かと準備するものが多いので現金のほうが喜ばれるかもしれません。それは成人祝いも同様です。
引越しを祝うかどうかは相手の事情次第
親族や友人・知人が新居に引越したことをお祝いする場合、引越し直後ではなく片付けが済む1~2週間後に生活必需品を贈るのが良いでしょう。配慮したいのは、中途退職や介護の必要が生じたためなど何らかの事情がある場合、お祝いは控えるべきということです。
退院祝いや病中お見舞いは贈るものを慎重に選ぶ
入院していた方の退院祝いについては、病状などの様子を窺ってから行いましょう。なお、「根付く」が「寝付く」につながってしまう観葉植物を贈るのはタブーです。また、入院中の方のお見舞いに品物を持参することもあるかと思います。こちらも、ご家族などに病状を確認してから伺うようにします。品物としては花やお菓子などが多いかと思いますが、生け花は傷みやすく花瓶の水の入れ替えなども必要になるのでカゴに入ったアレンジメントフラワーに。お菓子は成分が治療の妨げになる可能性もあるので控えたいところです。それであれば入院中の退屈しのぎになる雑誌や写真集、筆記用具とスケッチブックといったものが良いかもしれません。何はともあれ、贈答はより良い人間関係を保つための行為ですから、何より相手のことを考えて喜ばれるものを失礼のない方法でお渡しすることが必須です。