たくさんの人が新しい生活をスタートさせる春。住まいの中も模様替えして気分を一新させれば、よりいきいきとした毎日を送れることでしょう。その際、視覚を通して様々な心理的作用を人にもたらす「色彩」について、今回は研究してみたいと思います。
各色の効用を活かしたコーディネイトを
思えば私たちはたくさんの色に囲まれて生活しています。壁や床、天井、ドア、インテリアに至るまで、透明なものでない限りほとんどが色付きのもの。眠っている時以外は常に目に映っているわけですから、色彩に心理的作用があるとするなら知らず知らずのうちに何かしらの影響を受けているはずです。意識的に室内のカラーをコーディネイトすれば、気分をはずませたり落ち着かせたり自分自身をコントロールできるかもしれません。とはいえ、内装を大幅に変えるのは時間も費用もかかるので、まずはカーテンやテーブルクロス、クッション、あるいは観葉植物など手軽に取り換えることができるもので、空間を彩るカラーのコーディネイトを考えてみましょう。それでは、代表的なカラーが人に対してどのような効用があるのかを探っていきます。
癒しや落ち着きをもたらすアースカラー
まずは、これから訪れる新緑の季節にふさわしいグリーンについて。リラックス効果のあるカラーで、心を癒してストレスを和らげ、リラックスさせてくれます。家族で和気あいあいと団らんを楽しむというよりは、リビングでくつろいだり、お風呂でゆったりと心身を癒したりするのを手伝ってくれることでしょう。ただし、反射率が低いため肌の色を悪く見せるデメリットもあります。カーペットや壁紙など広いスペースをグリーンにするよりは、観葉植物、小物などをワンポイントであしらうのが良いかもしれません。グリーンと同じアースカラーで、住まいにもよく採り入れられるのがブラウンです。落ち着きをもたらし、安定したイメージを与えるので、大切なお客様をお迎えする空間の色彩にぴったり。だから、会社の応接室には木製のインテリアなどがよく使われるようです。どちらかというと、ぼんやりしたテイストの空間を引き締めたり、他のカラーを引き立てたりする効果が期待できそうです。
体感温度を下げ、空間を広く見せるブルー
暑い季節の到来を見越してブルーで室内をコーディネイトしたいと考える人も少なくないでしょう。爽やかな空、涼しげな水面を思わせるブルーは、心を落ち着かせ、集中力を高めてくれるカラー。寝室や書斎、子どもの勉強部屋などに採り入れると、その効用を活かせます。体感温度を下げてくれることも期待できるので、まさに夏にはぴったりのカラーです。さらに、空間を広く見せてくれる効果もあると言われます。ただし、こちらにもデメリットがあり、憂鬱な気分を助長することになりかねないため家じゅうに多用するのは控えたほうがよいでしょう。
夏場でもワンポイントで使いたい暖色系
レッド、オレンジ、イエローなどの暖色系は、まもなく夏を迎える時期にあまり採り入れたくないと思うもの。ところが、空間によって夏場も暖色系にしたほうが良いケースは多々あります。たとえばレッドは精神を意欲的に、体を活動的にするとされます。1日を元気にスタートさせたいなら、キッチンの調理家具やダイニングのテーブルに置く花瓶などにをワンポイントでレッドを採り入れてみてはいかがでしょう。オレンジも気分を楽しくしてコミュニケーションを活発にするので、ダイニングなどにはぴったり。テーブルクロスをオレンジにするだけでも気分が変わるかもしれません。そしてイエロー。太陽の光を思わせる、明るい希望の色は脳に刺激を与え楽しい気分にさせます。ただし主張しすぎるとうるさい感じになるので、あくまでアクセントとしてさり気なく採り入れましょう。また、同じ暖色系で女性的なイメージがあるピンクは、精神を安定させ、優しい気持ちにしてくれます。使いすぎると子どもっぽく、軽いイメージを与えてしまうので、リビングなどでは控えめにあしらいたいものです。
開放感のあるホワイトはベースカラーに最適
最後に、ブラックやホワイトにも触れておきましょう。ホワイトは空間に清潔感や開放感をもたらし、どんな色とも相性が良いのでお部屋のベースカラーにするのをおススメします。清潔感を活かして、サニタリーなどにも使いたいところです。ブラックはスタイリッシュで精悍、重厚なイメージを演出しますが、圧迫感も与えるので少ない面積で使うのがベター。ビビットなカラーと組み合わせれば、モダンなイメージをつくりだすことができるでしょう。結局、それぞれの色彩には効用もあればデメリットもあります。空間に合わせて、あるいは季節に合わせて、自分なりにあれこれコーディネイトしてみると楽しいはず。ぜひトライしてみてください。