ようやく暑さが落ち着いてきたのに、どうも体調が良くない。それは「秋バテ」かもしれません。夏の終わりから秋にかけては暑かったり涼しかったりと日によって気温差が大きく、体がついていけないことが主な原因。今回は楽しみの多い季節に向けて、そんな秋バテ対策をご紹介します。
夏バテ知らずの人も注意したい秋バテ
秋バテになると、食欲や体力が落ちて、疲れやだるさを感じます。場合によっては風邪をひいてしまうこともあるので、決して軽視はできません。「今年は夏バテにならなかった」という方もご用心。猛暑の季節よりちょっと遅れて、夏バテと同じような症状に悩まされる人は少なくないのです。
特に、夏場は意識して水分をとるようにしていたのに、涼しくなったら喉が渇くことが少なくなるので水分補給を積極的に行わなくなるのも秋バテを引き起こす原因です。体内の水分量が減りすぎると血液がドロドロになり、脳梗塞などのリスクも増えてしまいます。
そのほかにも、胃腸が疲れて消化機能が低下したり、秋の夜長につい夜更かしして睡眠不足になったりと、秋バテの原因はいろいろ挙げられます。
美味しい旬の恵みで健やかに
「食欲の秋」は、秋バテ対策になる旬の食材がいっぱいあります。まずはそれらを楽しみながら元気を回復させることを考えてみます。
秋の味覚の代表格といえば松茸でしょう。ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、葉酸、アミノ酸、あるいはα-グルカンやβ-グルカンといった多糖体を含み、体力や免疫力をアップして臓器の働きも良くする効果が期待できます。食物繊維も多く含んでいるので、腸も整えてくれるうれしい食材です。
そして、名前に「秋」の文字が入っている秋刀魚(サンマ)。たんぱく質、脂質(EPA・DHA)、ビタミンB12、ビタミンEなどを含み元気を与えてくれるのはもちろん、ガンや高血圧、動脈硬化などの予防効果もあると言われています。何よりこの時期の秋刀魚は脂がのって美味しいので、食欲もわくというものです。
また「嫁に食わすな」ということわざが有名な秋ナス。ことわざの意図するところは「美味しくて嫁に食べさせるのはもったいないから」あるいは「嫁の体を冷やしてしまうから」という2つの説がありますが、ナスは夏よりも秋のほうが旨み成分のアミノ酸や糖の含有量が増えるので美味しくなるのです。生活習慣病を招く活性酸素やコレステロールの吸収を抑える作用もあるそうなので、そちらが気になる方にもオススメです。
それから果物。中でも注目したいのは柿です。ビタミンC、カロテン、ミネラル、食物繊維を豊富に含み、さらに渋みの元となるタンニンには2日酔いや体臭の予防の効果があると言われています。
ここまで旬の食材のご紹介をしてきましたが、普段からの心掛けとして、冷たい食べ物や飲み物はとりすぎないように注意しましょう。まだ暑い日があるかもしれませんが、冷たいものは体を冷やし、胃にも負担を掛けてしまいます。むしろ血の流れを良くして冷えを解消してくれることが期待できる、生姜、にんにく、ねぎ、にらなどをとるようにしたいものです。
軽い運動やアート鑑賞で心身いきいき
さらに「スポーツの秋」「芸術の秋」というように、意欲的に活動するのには絶好の時期です。夏はあまり外出したくないと思っていた方も、まずは心地よい日差しや風の中へ繰り出してみてはいかがでしょう。ランニングなどハードなスポーツではなく、ご近所をのんびりウォーキングするだけでも体も心も元気を取り戻せるかもしれません。気持ちが盛り上がってきたらハイキングなどに出かけてみるのも良いでしょう。ただし、くれぐれも無理して疲れすぎないようにしてください。
また、部屋で映画や音楽を楽しむのも良いですが、映画館をはじめ美術館や博物館、あるいはコンサートホールなどに足を運び、ワクワクするような体験を楽しむのもオススメです。
メリハリのある暮らしは、心身をいきいきとさせてくれることでしょう。
秋バテ対策として安眠を楽しむ工夫も
たっぷり睡眠をとり、質の高い眠りを楽しむことも大切です。
寝付きを良くするために、まずバスタイムはゆったりとお湯につかり体の疲れを癒します。夏場はシャワーのみで済ませていた方も、そろそろ湯船にお湯を張りましょう。ぬるめのほうが疲れをとるのには適しているので、お湯の温度は40℃くらいにして長めにつかるようにします。
また、地域にもよりますが、まだ就寝時に薄いタオルケット程度しか掛けていない方もいるかもしれません。おなかを冷やすと、それも秋バテを招くことにつながります。暑いかなと思っても、枕は涼感をもたらしスムーズに眠りに誘ってくれる素材のものを選び、体は冷やさないように毛布などをしっかり使うことを考えましょう。
心と体のコンディションを整えて、どうぞ元気に爽やかな季節をお楽しみください。