気候が穏やかな秋は、心身を休めたり知的な活動に取り組んだりするのに絶好の季節です。ただし「秋の日はつるべ落とし」というように、夏に比べて暗くなるのが早く1日が短く感じられます。それだけに、夜のひとときを大切にしたいもの。そこで今回は、秋の夜長をゆったり楽しむコツをご紹介します。
間接照明でくつろぎの空間を演出
心地よく夜を過ごすために、まずはお部屋をくつろぎ感あふれる空間に演出したいところです。ふわふわのソファなどインテリアに凝ったり、温かみを感じるカラーにカーペットや壁紙を変えたりとインテリアに凝る方法もあるでしょう。でも、意外と簡単なのは「間接照明」を採り入れること。光源から光を直接当てるのではなく、いったん壁や床、天井に照明を当てて、その照り返しで明るさを得れば気持ちが落ち着くものです。リラックス効果が高く、明るさに濃淡ができるため何となく室内を秋らしく演出できます。最近では、家を新築する時やリノベーションをする際、住まいの機能として間接照明を初めから導入するケースも少なくありませんが、もっと身近なアイテムを活用して手軽に実現することも可能です。身近なアイテムの代表格は電気スタンド。ソファやベッドの脇など自分を直接照らさない場所に置いて、メインの照明は落として電気スタンドの明かりだけで過ごしてみます。部屋全体は暗くなりますが、やわらかな光につつまれてテレビを観たり音楽を鑑賞したりすると心身が癒されることでしょう。就寝前であれば、寝つきが良くなるという効果も期待できます。光のちらつきが少ないインバーター方式の蛍光灯やハロゲンランプであれば目に優しく読書向きと言えます。電気スタンドは、和洋あるいはアジア風などさまざまなタイプがありますから、お部屋の雰囲気に合わせてデザイン性に優れたものを選べば、昼間はインテリアとしても大いに活躍します。また、小さなスポットライトを使って、観葉植物や壁の絵などを低い位置からライティングするとムードたっぷりの空間になります。というのも、人間の目は暗いところよりも明るいところを見ようとする習性があります。光の濃淡がある場所で、美しいものに光を当てれば視線が自然とそちらに向いて、癒しの効果を引き出せるのです。光の量は抑えて、天井まで光が届かないようにセッティングしましょう。そうすれば、部屋全体に落ち着いた雰囲気を演出できます。床の上に直接置くタイプのフロアライトも安らぎを与えくれますが、人の往来が多い場所では邪魔になるので、どちらかというとベッドルーム向き。ぼんやりとしたやわらかな光は快眠効果があります。
キャンドルの炎のゆらめきでリラックス
電気スタンドやスポットライトなどの照明器具ではなく、キャンドルに火をつけて間接照明にする方法もあります。ゆらめくキャンドルの炎を見ていると、不思議と心が安らぐ経験をお持ちの方は少なくないと思います。これは「1/fゆらぎ」と言って、人間の心臓の鼓動と同じリズムでゆらぐため安心感が生まれるそうです。そこで、キャンドルをできるだけ目線の近くの、炎のゆらめきが視界に入る位置に置くようにします。さらに壁に近いところに置けば、近くの壁にはクッキリと、遠くの壁にはぼんやりと影が浮かんで、味わいのある間接照明として活躍します。さらに、アロマキャンドルを使えば、視覚だけでなく臭覚にも心地よさを与えてくれるのでリラックス効果が倍増します。なお、キャンドルを使うとどうしても「すす」が出るので、その上にできるだけ物を置かないように気をつけましょう。また、言うまでもありませんが、火の扱いにはくれぐれもご注意を。
安らかな眠りにいざなうハーブティー
せっかくの秋の夜長だから、早く就寝して体を休めたいという方もいらっしゃるかもしれません。それなら、お休み前のくつろぎのひとときにハーブティーを楽しんではいかがでしょうか。不眠に効果的といわれるハーブティーですが、種類によってさまざまな効果があります。たとえばカモミールやバジル、リンデン、セントジョンズワート、パッションフラワー、バレリアンなどには鎮静作用があり、中でもカモミールには消化を促して体を温める効果もあるため冷え性対策にもなります。また、心身が疲れている時は、気分をリフレッシュさせてくれるペパーミントがおすすめです。ハーブのほかにも、心地よい眠りに誘ってくれるのがホットミルク。牛乳に含まれるトリプトファンというアミノ酸は、夜になると睡眠を促進するメラトニンというホルモンに変わります。ホットミルクにカモミールなどのハーブを入れるという合わせ技も有効でしょう。近年はハーブガーデニングが人気ですが、お休み前のハーブを自分で育てれば暮らしの楽しみがますます広がるかもしれません。来年の秋の夜長をゆったり過ごすために、秋まきハーブの栽培を今から初めてみるのも面白いかもしれませんね。