夏めいた風が街を吹きぬける5月。日差しがまぶしく、紫外線が気になる季節の到来です。「紫外線」と聞くとどうしてもお肌への影響を考えてしまいがちですが、住まいの大敵でもあるのです。屋根や外壁などのエクステリアはもちろん、窓から入り込んだ紫外線は家具やフローリング、畳などにもダメージを与えます。そこで今回は、紫外線から住まいの内外を守るテクニックをご紹介します。
家の中まで侵入してダメージを与えるUV-A
紫外線は大きく分けて3種類あります。UV-A(紫外線A波)、UV-B(紫外線B波)、UV-C(紫外線C波)で、それぞれ波長の長さが違い、もっとも波長が短いのはUV-Cです。波長が短いほど人に有害とされていますが、UV-Cは地球のオゾン層を通過する際に散乱あるいは吸収され、実際に地上まで届くのはUV-AとUV-Bになります。ただし、UV-Bもオゾン層や雲に吸収されやすいし、住まいでは外壁や窓ガラスに遮られて室内に入ってくることはあまりありません。ということで、お肌が日焼けしたり、室内の家具や壁紙などが色あせたりする主な原因は、ほとんどがUV-Aによるものです。UV-Aは、窓ガラスや薄いカーテンをすり抜けて、家の中に侵入します。直射日光が当たる場所と比較して、ガラス越しに日があたる窓辺で8割、日が直接当たることのない場所でも反射などによって1割ほどUV-Aが入ってくると言われています。ですから、「家の中にいれば紫外線を受けないから安心」と思ってはいけないのです。しかも、人は室内の暗い場所に移動できますが、床や畳、壁、家具などはそうもいきません。ましてや、屋根や外壁は日中ほとんど紫外線にさらされていると言っても良いでしょう。何かしら対策を考えないと大きなダメージを受ける一方です。
フィルムやカーテンで窓から入る紫外線をカット
では、住まいの紫外線対策をどのように行えば良いのでしょうか。まずは、家の中で紫外線の影響を受けやすい場所を確認し、日焼けしてほしくない家具などの配置を考えます。直射日光が当たる窓際だけでなく、カーテン越しに日差しが入り込む場所がどこなのかもチェックしましょう。それは時間帯によって変化することも頭に入れなければなりません。さらに、季節によっても日差しの角度は異なります。たとえば夏は日光が直角に近い角度で差し込むので、低い家具などは上面が日焼けしやすく、逆に日光が差し込む角度の小さい冬場は、部屋の奥にある家具の側面に紫外線がよく当たります。とはいえ、紫外線を気にするあまり自由なお部屋のレイアウトが楽しめないのでは困ります。そこで、紫外線の侵入を防いでくれるシートやフィルムを窓に貼ったり、同じくUVカット加工が施されたカーテンや遮光カーテンを利用したりすることをおすすめします。特に、朝や夕方は日差しの角度が小さく部屋の奥まで紫外線が入ってくるので、朝日と夕日の入口となる東側と西側の窓はしっかりガードするべきです。市販されているシートやフィルム、カーテンの中には、とても透明度が高く、室内の明るさを損なわないものもあります。そうしたものを利用すれば、暮らしに大きな影響を与えずに紫外線対策が行えます。
家具は配置を考え、UVカットスプレーでガード
お部屋を自由にレイアウトしたいとはいえ、家具はなるべく直射日光が当たらない場所に置きたいもの。そして、念のため市販されているUVカットスプレーをかけておけば色あせや日焼けを防ぐことができます。最近では、あらかじめUV塗装が施された家具も販売されています。また、窓辺に近い場所にある家具に、日中は布などをかけておくとよいでしょう。UV加工の施された布製品もありますし、UVカットスプレーの中は布用のものも販売されています。なお、レース模様の布を長期間かけっぱなしにしておくと、その模様が家具に焼きつくことがあるので要注意です。フローリングも、長期にわたって紫外線を受けると退色や劣化が起こります。そこで、特に窓に近い場所は、お気に入りのデザインのラグ・マットなどでカバーすることをお勧めします。和室の畳は、紫外線による変色が顕著に現れます。こちらも窓にUVカーテンなどを掛けるのはもちろん、隣の部屋から日差しが侵入しないように、戸やふすまをこまめに閉めるように心掛けましょう。
エクステリアには紫外線吸収剤配合の塗料を
そして最後に、屋根や外壁などのエクステリア。少し大掛かりになりますが、紫外線吸収剤が配合された塗料を塗れば、日焼けによる劣化を防ぐことができます。また、夏は室内の温度の上昇を抑えることにも貢献します。ただし、作業は危険も伴うため、こちらはプロに任せたほうがよいかもしれません。透明の塗料であれば窓ガラスにも塗れるので、フィルムが貼りにくい凹凸があるガラスに利用しても良いでしょう。様々な紫外線対策をご紹介しましたが、ちょっとした工夫でも住まいを守ることは可能です。できることから始めてみてはいかがでしょうか。